「笑顔」について
口をあけて歯をみせて






自然な笑顔は楽しいから、嬉しいからするもの。
信頼した相手にする力を抜いた柔らかい笑顔が作りたいと制作したものです。


■3DCGで作る笑顔について
CGで笑顔を作ろうとするとウソ笑いや営業笑いになりやすい。
企みを感じる笑顔は作れても「喜び」という感情を表す笑顔が難しい。
心から笑ってくれないのです。
その奥深い謎を探っていきましょう。

■目の表情
人の表情は目に最も現れる。フルフェイスのヘルメットを被っていても、目が見えていればその人が怒っているのか喜んでいるのか哀しいのか、その微妙な変化から意外と読みとることができます。
逆にサングラスをしている人は口で笑っているのは明快に分かりますが、その笑いの意味する感情は読みとりにくい。
そこで表情を付けるときに目から下を隠してみるんです。目だけで喜怒哀楽が分かるか確認するんですよ。


↑目だけでも笑っているのか、そうではないのか、確認するに他の部分を隠して見る。

視線が感情表現の要。どこを見ているか。彼女の意志の先はどこにあるのか?それをどのような眼差しで見てるのか?


■口の表情
歯を見せる笑いは難しい。そこで歯を控え目にしようと考えてしまう。
しかし現実の女の子達はどうだろう。
ただ歯を見せてるだけじゃない。歯で魅せているんです。
歯も生き生きと描ければ歯茎が見えるぐらい思いきっり笑わせてもいいと思います。健康的な歯が彼女の魅力を引き立てるから。


上左:無表情
上右:口を閉じた笑い
下2枚:笑った口の開き方にも個性がある。

■その他のパーツ
笑顔を作ると考えれば目は、口は、眉の形はどうなってるだろう。大切なのは観察。確かにいろんな分析をしなければなりません。
1.頬の肉は笑っても同じ体積。でも筋肉は力を入れるから充血して膨らむのかな?口が横に引かれた分のお肉の行き先は?前方にも横にも瞼も押し上げている。
2.口角と歯の隙間。前歯の歯茎は唇に押しつけらる。でも脇に行くに従って隙間が広がり空間が出来る。笑った口全体に歯が見えるわけじゃない。
3.眉はどうなってる?
なんてことです。


■パーツに囚われすぎないか?
笑いは顔全体の形を崩すところから。動かないのは頭蓋骨だけ。
人間の顔は地球の生物の中で最も高度に発達した仕組を使って多彩な表現力があるし。その意志の先を伝える為に瞳と白目が明快に分かれています。この複雑な代物を全部を駆使して感情を伝えているわけで、パーツの形がどうこうだけな単純なものではありません。



笑うのは目と口だけだろうか?
身体の中で硬くて変形しないのは骨だけ。
額や顎の部分は確かに骨から薄い。そんな場所でも皮膚はその上をスライドするように動く。笑うのはパーツじゃなく顔全体だという認識が必要なのかも。


■様々な要因
肌の状態、ライティング、シチュエーションはそれぞれ一つとっても本一冊でも足りないぐらい奥が深いと思います。なのでここで書いてるのは形状の話だけです。笑顔のほんの一部のことしか書いていないわけですね。


■笑顔を作る前の心構え
営業笑いや企みの笑顔や照れ笑いなどはここでは省いて考えると笑顔って楽しいから、嬉しいから自然に出るもの。心から笑っているか?それを感じ取るのは顔の形だけじゃないかもしれない。肌の色も変わるだろう。その興奮が伝わってくるのようなシーンを想像してみるのがまず最初の準備だと思います。

制作したキャラの笑顔を見て思わず笑みが‥もらい笑いができるような笑顔を目指したいですね。