歩行とは
究極のモーションだと思われます。

なぜか?
それは意識しないで出来る運動だからです。 意識して動くことを考えれば分かります。

何か物を掴むなど意識した動きは自分でどう動いてるのか(手を伸ばして‥とか)ある程度は解っているのです。

それがなんと歩行は前に進もうと考えるだけで勝手に身体が動きます。
歩き始めるとき、左右どちらの足から出ようか考えたことがありますか?

歩行は言葉を覚える前から学習は始まり、赤ちゃんの時から猛練習を積んで初めてなし得る運動なのです。
そして一度身についてしまえば、どのようなタイミングでどのように動かしているかは本人が意識していないのに自動化されています。

二足歩行という人類が到達した究極の運動は、動く手順とタイミングが難しすぎて考えながらではできません。
つまり、普段している運動ほど実は頭で理解していない未知の運動なのですね。

その上、人類の二足歩行は足を伸ばす動作まで入るという高度な芸当までやらかしています。
やっとロボットができるようになった二足歩行でも人類の歩き方とは根本的に違うのです。
ロボットは歩行中ひざを伸ばすことができず中腰のまま歩かなくてはいけません。
しかし人間は歩行中にひざが伸びます。
人間の柔軟な身体が成せる技なのです。

このとんでもなく高度で繊細な運動を再現(理解)するなんてできるのでしょうか?
たぶん無理。
だけど歩くってモーションの基本だろー。
ということで嘘でもいいからそれっぽく見せることへの挑戦が始まります。
でも、なかなか人間になりません。
そこで「人間ナメてました」と、天を仰ぐのもいいでしょう(天井しか見えませんが)。

歩行アニメーションのコツとは
んなものは無い!
ひたすら観察し、キーを打って打って打ちまくるのじゃ!
そしてボロボロのモーションになります。
これの繰り返し‥だと思っていました。
でも慣れとともにキーの数は減っていきます。
そこで余分なキーを排除して出来るだけアニメーションのカーブ(グラフ上の編集)が素直になるよう整理していきます。

接地感を出すのに余分なキーは入れてはいけません。接地感が出るまでグラフの編集に明け暮れます。

足下から接地の衝撃が時間差をかけて伝わり関節ごとに吸収していくことに気付くと思います。
衝撃の伝わり吸収には時間差がありそのおかげで頭部には衝撃が伝わりにくいのです。
そして頭が最も安定しているのです。(‥違う歩き方もありますが)

全ての関節は動いている。そして各関節の動きのピークは時間の差がある。
それそれの筋力の伝わり方も時間差があり、物理的な慣性の法則も加わります。
アニメーションのキーはほんの僅かにタイミングをずらしていくわけです。

重なったキーをなるべく作らなければ身体の柔軟さを表現できるし動きそのものも柔軟に見えます。
全身がクッションとなり頭部が(身体の末端でありながら)最も動かないようにするわけです。 振り子の動きは重要です。自然の力に逆らわず、重力を常に意識します。

物理的な動き方80%に意図的な動き20%が加わったぐらい。
逆にいえば2割のきっかけで8割の惰性と考えてモーションを付けるといいかもしれません。



この動画はそんなことを考えながら付けた歩行モーション。

たぶん思い込みからデフォルメされた動きになってるので、かなり身体をくねらせた歩きだとは思いますです(^^ゞ

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